前橋地方裁判所 昭和60年(わ)238号 判決 1985年11月15日
本籍
群馬県甘楽郡下仁田町大字下仁田二八八番地の一
住居
右同
会社役員
市川成幸
昭和二三年一一月一九日生
右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官森川大司出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年六月及び罰金四、五〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、群馬県甘楽郡下仁田町大字下仁田二八八番地の一において蒟蒻精粉業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上によって得た資金を仮名預金として蓄積したり、右資金で金塊を仮名で購入するなどの方法により所得を秘匿したうえ
第一 昭和五六年分の所得金額は三、二八二万八、一四一円で、これに対する所得税額は一、一八七万一、一〇〇円であるのに、その申告期限である昭和五七年三月一五日までに、所轄の群馬県富岡市富岡字小川二七四一番地一富岡税務署長に対し、所得税の確定申告をせず、もって不正の行為により右所得税額一、一八七万一、一〇〇円を免れ
第二 昭和五七年分の所得金額は七、五一〇万二、八〇一円で、これに対する所得税額は三、八八四万六、八〇〇円であるのに、その申告期限である昭和五八年三月一五日までに、所轄の前記富岡税務署長に対し、所得税の確定申告をせず、もって不正の行為により右所得税額三、八八四万六、八〇〇円を免れ
第三 昭和五八年分の所得金額は一億七、〇六五万一、八〇一円で、これに対する所得税額は一億一、〇〇九万八、九〇〇円であるのに、その申告期限である昭和五九年三月一五日までに、所轄の前記富岡税務署長に対し、所得税の確定申告をせず、もって不正の行為により右所得税額一億一、〇〇九万八、九〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書五通
一 市川宗三郎の検察官に対する供述調書
一 収税官吏作成の調査書三一通
一 富岡税務署長作成の証明書
判示第一の事実
一 収税官吏作成の脱税額計算書及び修正損益計算書(いずれも自昭和五六年一月一日至同年一二月三一日のもの)
一 収税官吏作成の修正貸借対照表(昭和五六年一二月三一日現在のもの)
判示第二の事実につき
一 収税官吏作成の脱税額計算書及び修正損益計算書(いずれも自昭和五七年一月一日至同年一二月三一日のもの)
一 収税官吏作成の修正貸借対照表(昭和五七年一二月三一日現在のもの)
判示第三の事実につき
一 収税官吏作成の脱税額計算書及び修正損益計算書(いずれも自昭和五八年一月一日至同年一二月三一日のもの)
一 収税官吏作成の修正貸借対照表(昭和五八年一二月三一日現在のもの)
(法令の適用)
一 判示各所為 いずれも所得税法二三八条一項(一二〇条一項三号)、二項
一 刑種 所定刑中いずれも懲役及び罰金の併科刑を選択
一 併合罪加重 刑法四五条前段
懲役刑につき 四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定加重)
罰金刑につき 刑法四八条二項(各罰金額を合算)
一 労役場留置 刑法一八条
一 懲役刑の執行猶予 刑法二五条一項
(求刑懲役一年六月及び罰金四、五〇〇万円)
(裁判官 松岡和子)